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森の土のはじまり

もう20年以上前のことです。生まれた娘に、どうしても安全なものを食べさせたいと思い、空き地を借りて家庭菜園で有機栽培を始めました。その当時、有機栽培や無農薬と表示されているものの多くが偽物だと報道されていたためです。​

​虫だらけの作物

借りた空き地で枝豆を育てて収穫してみると、豆には一粒残らず虫が入っています。とうもろこしは粒がほとんどなくなるくらい虫食いです。ブロッコリの葉にはとんでもない数の青虫がついて、葉脈だけになります。

肥料に疑問

土づくりに手間をかけ、3年ほどで虫の害はほとんどなくなり、作物はよく育つようになりました。でも、病気になったり虫が大発生したり、という失敗も時々ありました。それは作物を大きく育て、たくさん収穫しようと、菜種カスや鶏糞​などを与えすぎた時に起こりました。

りんごや梅、イチジク、桃の苗木は、ほったらかしでも育ち、花を咲かせ、実が着きます。でも、実がなって、それを大きくしようと肥料を与えた途端に病気になり、虫が入り、しまいに枯れてしまいます。

自然栽培との出会い

青森のりんご農家、木村秋則さんがテレビ番組で「奇跡のりんご」として紹介されました。木村さんは、無農薬のりんご栽培に失敗を繰り返し、絶望して人生を終わりにしようと岩木山の森の中に分入り、そこで森の土と畑の土の違いに気づいたのです。これが自然栽培の始まりでした。木村さんは、りんご畑に森の土を再現することで、不可能とされていたりんごの無農薬栽培を実現したのです。

これこそ環境と健康に優しい究極の栽培法だと思い、その後は、毎年肥料を与えずに作物を育てようと様々な作物を試しました。しかし、残念なことに、植えた苗はいつも全くと言っていいほど育つことはありませんでした。こうして自然栽培の試みは何年も失敗を繰り返したのです。

イチジクが教えてくれた土づくり

まだ自然栽培を知る少し前のことです、畑に植えていた数本のイチジクの実着きが悪いので、生ゴミでボカシを作り、木の周りにまいていました。ところが、そうしていると幹にカミキリ虫が入り、イチジクは次々に枯れていったのです。

枯れたイチジクの回復を願い、木の周りを森林の表土のようにして放置していました。そんなことも忘れた頃、イチジクの木はいつのまにか回復をはじめ、数年後にはたくさんの美味しい実をつけるようになりました。

農地に森林の土を再現する取り組こそ自然栽培の本質だということをイチジクの木が教えてくれたのです。

この土作りを行うと、野菜もよく育つようになり、ようやく自然栽培の実践が可能になったのです。こうして全ての作物を自然栽培で行う「自然農園 森の土」が始まりました。

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